第9章 壁外調査 前日
はぁ…
今まで聞いた中で1番のため息をエルヴィンは吐いた
「起きた事は仕方ない…第4分隊はモブリットが居なくても陣形は大丈夫だな?」
「あぁ…モブリットが特別に優秀なだけで他の団員が劣っている訳ではないからね それは保障するよ」
ただ心配なのは壁外調査の時は団員のほとんどが参加するから それ以外の事務職や調理場の団員は最低限の人員だけ残ってあとは帰還の鐘が鳴るまでは休日扱いになっている
「モブリットの世話役が必要だな…」
「私の分隊からはもう欠員は出せないし…今回はエルヴィンの隊が中心となっているから無理だし…」
2人はソファに座り考え込んでいる
「私がしますよ?モブリットの世話」
2人が同時に顔を上げて私を見る
「しかし…カナコは保養地に行くのを楽しみにして」
「君は女神だよ!モブリットよかったなぁ…安心して私の分隊も調査に出発できるよ!」
顔を上げた2人の反応は違っているのが面白くて失礼だと思ったけど可笑しくて笑い声を上げた
「エルヴィン保養地は楽しみだったけど 本当はここで皆の帰りを待ちたかったの だから大丈夫だよ
ハンジの女神になれるようにモブリットのお世話するから安心して調査に行ってそして必ず帰ってきてね」
反対のソファに座っている私の元に
ビョーンとテーブルを飛び越えてくる勢いで立ちあがり「カナコー!」と叫び手を伸ばしたハンジのジャケットをエルヴィンがガシッと掴みソファに座らせる
「落ち着けハンジ!君まで怪我をするぞ!
カナコがいいのなら明後日からモブリットを頼むよ」
「今日はいいの?」
「明後日まではリヴァイ達と過ごすといい」
「明後日までは私が面倒を見るから大丈夫だよ!他の幹部達とは違って私に告白する団員は居ないから暇なのさ」
ハンジ…行動や言動がちょっとアレなだけで顔は綺麗系なんだけどな…
「さてもうすぐ昼御飯の時間だな カナコ早く執務室から退散しないと 女性団員から煙たがられるよ」
「そう…なの?」
ヤダちょっと覗き見したい!
よくリヴァイやファーランから「カナコは顔に出る」と言われていた
「…カナコ興味津々なのは分かるが 覗き見とかは止めてくれるかな?」
「急に顔がにやけたね」
エルヴィンとハンジにも私は分かりやすいらしい…