第8章 お前が居ればそれだけで
「ハニーどうかしたか?」
「ん?大丈夫。」
「みんな待ってるから行こうか。」
松野家の人たちは本当にみんなあったかかった。私はここにいてもいいのかもしれない。そんなことを考えながら、松代さんが作ってくれた晩御飯を食べて、みんなとっても笑顔で、悪態はつくけど、とっても楽しそうな一家だなって思った。
そんな光景を見てたら、実家に暮らしている母のことを思い出してしまった。あっちの世界にはとっても可愛い妹だっている。そんなことを思い出していたら、あっちの世界のことがすごく恋しくなってしまった。その場では繕ったけど、本当はすぐにでも泣きそうだった。その場を後にし、松代さんがたいてくれたお風呂に浸かっている。カラ松を含めた六つ子は全員銭湯に行っているようだった。
「はー。今日は本当に色々あったな。」
いろんなことを思い出していると同時に、カラ松の言っていたデカパン博士の話が嫌でも頭の中にこだまする。
「「もう二度とカラ松とは会えない。」」
そんな事実を急に突きつけられて、私にはどうすればいいかがわからなかった。
こんな奇跡もう二度とないってわかってる。カラ松とは一緒にいたい。でもお母さんのことも心配。妹にも会いたい。あの世界にいたいって気持ちが少なからず私にあることがわかった。でもカラ松にはそばにいてほしい。
「カラ松。私、わからなくなってきたよ……。」