第6章 想いが止まらない
「ただいま〜」
「あーおかえり。すまない、じゃましてるぞ。」
声の帰ってきた方に目をやると、多分髭を剃る環境がないのか彼の髭はたくさん生えていてちょっと痩せこけているカラ松がそこにはいた。
「っ……カラ松……?どうしたの……?ひげどうしたの?」
「ん?ああ恥ずかしいんだが、剃る環境がなくてな。そのままだ。っとあった。」
カラ松の手の中にはあの手紙が握られていた。
「急にきてすまない。手紙を取りにきただけだから。いないうちに来ようと思っていたんだが、思ったよりも長居してしまった。急にきたら怖いよな。ハハ。」
私の頭をポンポンと撫でて行こうとしたカラ松を見た、瞬間今までの思いが全て込み上げてその場にしゃがみ込んでしまった。込み上げてくる涙と想いは彼を見た瞬間溢れてしまっていた。
「みちる?急にしゃがみ込んで、どうしたんだ?」
あの時と変わらない優しい声、私は今声を出したら泣いていることがバレてしまうと思い、思いっきりカラ松を突き飛ばした。
「痛ってえ。どうしたんだ?」
カラ松が頭をさすって私の方へ視線を向ける。私は止めることができない涙と葛藤しながら手で一生懸命顔を覆ってなんでもないように、心配させないように下を向いた。
「みちる?泣いてるのか……?」
ビクッと肩と動かすとカラ松は遠慮がちにその手を引っ込めてしまった。
「俺がいるから、俺がやっぱり怖いんだな。急に来てすまない。」
そうじゃないよ?そうじゃないんだよやだよ。いかないで。そう言葉にしたいけど、それを言葉にしたら彼はここに残ってしまう。
「そうだよ!!急に来て、びっくりしたっの……怖いのに!」
涙ながらにカラ松を睨み付けると、彼は近づいてきて、私を押し倒してきた。
「なあ、みちる?俺が怖いか?ずっとお前は俺を見てなかったんだな。俺ではないやつを見ていたんだな?」
喉の奥がヒュッとしまって声がうまく出せない。目の前のカラ松は別人のように目から光が消えている。
「カラ松っ……やだっ怖いよ……。」
「俺は、お前が好きだ…..。俺はお前が好きなんだ。」
カラ松がここに来てから一ヶ月を過ぎようとしていた。