第6章 想いが止まらない
我ながらすごいひどいことを言っていると思う。胸がギリギリと音を立てて締め付けられていく。これは全部カラ松への嘘だ。そして、私が消さなくてはいけない想い。本当はずっと好きだし、こっちにいてほしいと願ってしまう。でもこの自分の気持ちごと無くさなきゃ、きっとこの人は兄弟に永遠に会えなくなってしまう。
「わかった。」
カラ松はそれだけ言い残すと私の前から姿を消した。
その日から私の家にカラ松がくることはなかった。ただいまの声に反応してくれるカラ松の声を思い出して、私は1人泣いた。あの夢は正夢だったのかもしれない。神様も酷い夢を見せるなって思った。最初は嬉しかったけど、最後はこんな結末になるのか、現実なんてうまくいかないな。そう思いまた1人で泣いた。
「行ってきます〜」
1人でそういい仕事に向かう。帰ってくるはずの声はもちろんなく、カラ松がいなくなってから今日で1週間が経とうとしていた。私は無意識のうちにあの場所に今日も来てしまっていた。カラ松が最初に現れた場所。最初はカラ松が帰ってくる気がして、あの場所に何度か行ったけど、カラ松がそこに現れることはなかった。その日からここに立ち寄ってしまう。今カラ松はどうしているだろうか。
ご飯を食べているだろうか。お風呂にちゃんと入れているだろうか。誰かに優しくしてもらっているかな。といろんな考えが頭を巡っていた。カラ松は多分私が怖いと言ってしまったから、彼は優しいから、姿を消したんだろう。
部屋の奥を見渡すとカラ松が来ていたパーカーがそこには落ちていた。
「こんなところにあったんだ。」
私がそれを拾い上げると、それと一緒に手紙がポッケから落ちてきた。
「これは、おそ松兄さんたちの手紙。」
カラ松はこれを探していないだろうか。一ヶ月後には帰れるからそんなことはもう気にしていないのかもしれない。一ヶ月……この3週間いろんなことがあった。私にはどれも素敵で無くしたくない思い出ばかり。最初の頃カラ松めっちゃ料理下手だったのに今ではとっても美味しく作れるようになって、そんなことを思い出していたら、涙が溢れてきて、何度目かわからない涙はまた止まることはなかった。