第5章 目の前にあなたの顔
「キャーーーーー!恥ずかしい!」
「うわぁっ!びっくりした!どうしたんだ?みちる?」
「えっいや、なんでもないけど、なんか嬉しくて。」
「風呂に一緒に入れたことがそんなに嬉しかったのか?ビンゴォ〜っ?」
「いや、そうじゃないけど、嬉しかったけどね!」
「なんだ、嬉しいんじゃないか。」
そうだろう〜と言いながら、しっかりと手櫛で髪を整えてくれる。カラ松の手の感覚がとても優しい。髪を撫でられているうちに寝てしまいそうになるくらい。すごく優しいカラ松の手。いろんな不安はあるけど、今はこの楽しい時を過ごそうと気持ちを切り替えていた。
「よっし!終わったぞ。さすが俺だな。みちるの可愛さが充分に引き出せているようだ。」
「ただ髪を乾かしただけなのに?ありがとうカラ松。」
髪を解いて、化粧品を取り出す。メイクなんてとても久しぶりにしたと思った。ほぼいつもすっぴんで仕事に行くし、っていうか今日ってなに?!って思って急いでシフトを見に行くと今日は休みで、1週間の有給を取っていた事をすっかり忘れていた。え!有給じゃん!カラ松と一緒にいたから忘れてしまってたけど、まさかの有給めっちゃ遊ぶぞー!と意気揚々とカラ松に向き直った。
「カラ松!私今日から1週間も有給なの!超嬉しい!」
「おおお!それはよかったな!それにしてもみちるは本当にヴィーナスだな。そのままの君も素敵だが、化粧をした君も美しいな。」
カラ松は私の頬を撫でる。久しぶりに化粧したこともあったけど、こうやって久しぶりに褒められると嬉しいものである。
「カラ松行こっか!」
「あぁ、出かける準備もしたし、行くか!」