第2章 そんな理由での逆トリだったとは……。
カラ松はわずか二日でここの生活には慣れていたようで、今日は頑張って唐揚げを作ってくれるようだった。丁度冷凍してあった鶏肉もあるし、料理用のアプリをカラ松に教えると飲み込みが早くてすぐに覚えてしまったようだ。こういうところは本当にすごいと思う。イタイ部分もあまり気にならないし、私はカラ松をだんだん男性として意識するようになってきてしまっていた。
「今日は、とてもいい出来だと思うんだが……!」そういったニカっと笑うカラ松が持つお皿にはとても美味しそうな唐揚げがこんもりと乗っていて、見ているだけで涎が出そうなくらい美味しそうだった。
「とっても美味しそう!カラ松さん料理まさかの二日目なのになんでこんなに美味しそうに作れるんですか!」と私は心からの感想をいうとカラ松もフーンととても嬉しそうにできる男だろ?と言いたげな表情でこちらを見てきた。カラ松が作った唐揚げと私がカラ松の隣で作ったお味噌汁と、ちょっとしたサラダが食卓に並んだ。
「「いただきまーす」」2人して元気にそう挨拶すると、カラ松も私もとっても美味しいねなんていって食べた。まるで恋人同士みたいだなと思ったのも束の間嫌なことを考えてしまった。明日の仕事のことだ、しかも明日は夜勤でカラ松のことをこの家に置いていくことになってしまう。
「カラ松さん急で申し訳ないんですけど、明日夜勤があったの忘れていました!」「そうなのか?」「夜勤なので明日はお留守番してもらうことになるのですが、大丈夫でしょうか?」そんなことを聞くとカラ松は「まかせろ!仕事ファイトだぜ。」と自信満々に答えていた。
一緒に片付けを始め、「美味しかったですねー。」「本当か!」と言い合いながらカラ松が食器を拭く係で、私は食器を洗いながらたわいもない話をしていた。こんな幸せな生活がずっと続くといいな〜幸せすぎるな〜と思っていた時にふと思い出すあの言葉『好き合わないと彼は帰ってしまうのです。猶予は1ヶ月』とかそんなことを言われたのを思い出した。そう、彼は一ヶ月後には私を残して帰ってしまうのだ。でももし、好きあえたらカラ松も私のことを好きになったら……カラ松のことはすでに好きだし、こっちの世界にきたことでアニメで見た性格とほぼ一緒だし、嫌いになれる要素はなかった。カラ松にこのまま好きと言えたらいいのに。しかし彼と私は容姿も何も違いすぎる。