第16章 初恋 中編【伊黒小芭内】
「つかコイツ、首に蛇を巻いてるっ?1個上の伊黒って奴じゃねーか?」
「小さいから低学年かと思った。」
低学年の言葉に首の蛇が『シャーーーーー!』と喉を鳴らして威嚇すると、苛めっ子三人が悲鳴を上げて後退る。
そんな少年達の前に、蛇の少年はグイッと進み出た。
「集団で寄ってたかって一人を虐げる。今どき低学年のガキでもやらない。お前達の脳ミソは園児以下だな。……でもそうか、お前らのような人種は、そもそも人間の知能を持ち合わせてないからな、これも仕方がないのかもしれんが。……いや、それとももしかして、お前らこの女が好きなのか?そんな低俗な理由でちょっかいを掛けてるのか?」
蛇の少年がチラリと陽華の顔を見やる。
「なるほど。よくよく見れば、可愛いらしい顔立ちをしてるしな。……フッ、構って欲しさにちょっかいを掛ける…とは、まさしく程度の低いガキどもの考えそうなことだ。」
「さっきからお前、ネチネチと……、だ、誰がこんなブスッ!」
「ブス?お前ら、自分を鏡を見たことがないのか?その点に関しては、人に意見できる立場にないと思うが?」
「クソっ、このチビっ!!」
苛めっ子の一人が蛇の少年を掴みかかろうと歩み寄る。しかしその前に、鎌首を擡げる蛇が躍り出る。
「うぁっ!……なんなんだよ、この蛇!蛇さえいなければ、こんなチビっ……」
「なんだ?鏑丸がいなければ、勝てると思ってるのか?耐えチビでも非力でも、お前らみたいな脳ミソが足りてない稚拙な馬鹿どもに勝つ方法は幾通りもあるんだぞ?まぁ、チビだのブスだの陳腐な言葉しか出てこないような乏しい知識量じゃ、想像も出来んだろうがな。」
「うぅ……」
言い返せず、言いよどむ苛めっ子の横では、もう一人の苛めっ子が震えていた。