第3章 先輩【※冨岡義勇】
そう言って、恥ずかしそうに苦笑いする陽華に、堪らず義勇の感情も溢れ出す。
「そんなこと言われたら、お前を好きな男は、勘違いするだろ?」
義勇は陽華は真っすぐに見つめると、小さく呟いた。
「お前は俺に、勘違いをさせたいのか?」
「え!?それって…先輩っ、」
義勇は床に手を付くと、グイッと陽華に顔を近づけた。
「いい加減に聞きたい。俺がサボらなように付き纏ったり、こうして夜遅くまでこそっと見てたり、無防備に下着を見せ付けたり、お前は、俺をどう思ってるんだ?」
義勇の顔が近くなり、陽華は慌てた。頭の中がパニックになりながらも、義勇の言葉の意味を考える。
(私が冨岡先輩を、どう思ってるか?)
そんなのは決まっている。この感情を持ってなければ、付き纏ったり、ずっと見てたり、ましてや笑顔が見たいなんて言わない。
陽華は、覚悟を決めたように義勇を見詰めた。
「す、好きですっ!」
その言葉を聞いて、義勇が嬉しそうに穏やかな顔を見せた。
「そうか。お前も俺と同じ気持ちだったことが聞けて、素直に嬉しい。」
その今までに見たことのない、穏やかな表情と、初めて聞く義勇の気持ちに、陽華がドキドキとしていると、義勇は安心したように息を吐いた。
「それに安心した。お前は誰にでも分け隔てなく、優しいから。もし誰にでも無防備に…その…、下着を見せつけているんだと思ったら、気が気じゃなかった。…俺にだけ…だな?」
「あ、当たり前です!…それにあれは、見せたりしたら、焦ってる顔の先輩が見れたりするのかな?……とか、ちょっと…試しただけで…、」
恥ずかしそうに、そう言う陽華に、義勇は呆れた顔を浮かべた。