第15章 初恋 前編【伊黒小芭内】
陽華の質問に、小芭内は顔を実弥達の方に向けたまま答える。
『お前なんかといたら、アイツらに説明する手間が増えるだろうがっ!』
それに説明しづらいっ!後輩の女に面白半分に付き纏われてるなんて、実弥だけならいいが、他の奴らには口が避けても言えない。
『それもこれもお前が俺に付き纏うから……、っっ!』
そう言って、苛立ち混じりの顔を陽華に向ける。
すると陽華の顔が、息が掛かりそうほど間近にあって……、
『ち、近いっ!!離れろっ!』
『無理ですよ、ここ狭いし。それに先輩が連れ込んだんじゃないですか。』
陽華がそう言って、頬を赤らめる。
『誤解を招くような言い方をするなっ!』
『先輩とこんなに近いなんて…、私、ドキドキしちゃう。』
陽華はゆっくりと身体を起こすと、小芭内の身体に密着するように身体を近づけた。
『っ!?な、何をしている?』
『先輩とこんなに近づくチャンスなんてないから、もう少し先輩に触れてたいな…って……、』
『馬鹿なことはよせっ!離れろっ!!』
小芭内の身体が陽華を制しようと軽く暴れる。すると太腿が陽華の腿の間に入り込み、陽華の敏感な場所に、コツンと擦るように当たってしまった。
『ぁんっ…、』
『おかしな声を出すな!』
『だって、先輩が…変のところ触るから……、』
『いいから、離れろっ!』
小芭内が陽華を肩を掴んで引き剥がそうとする。すると、陽華の床に着いていた手が滑り、反対に小芭内の上にぽすんっと覆いかぶさってしまった。
ムニュッ!
『っ!!』
その瞬間、腹の上に今まで感じた事のない柔らかな感触を感じて、小芭内の身体が固まった。
女を拒絶し続けて、十数年。免疫のない小芭内にだって、これが何なのかわかる。