第14章 進物・番外編 義勇誕生日記念【※冨岡義勇】
自分が他の男の人に優しくすると、義勇の心が揺さぶられる?
陽華は一瞬考えるように小首を傾げるが、その言葉の意味に気付くと、小さく「あっ…」と声を上げた。
「義勇さん、まさかそれって……ヤキモチとか……ですか?」
義勇が他の男性相手に嫉妬など、まさかとは思うが、遠慮がちに問いかけてみる。
すると、義勇は視線をそらすように、ぷいっと横を向いた。髪で覆い隠されているが、微かに見える頬と耳が赤く染まっているのがわかる。
「義勇さん?」
陽華が顔を覗き込むと、義勇はチラリと視線を合わせた。
「そうだ…と言ったら、幻滅するか?」
恥ずかしげに呟く義勇に、今度は陽華の身体が熱を持ったように熱くなる。
「幻滅なんて、しませんっ!」
顔がニヤけてしまいそうになるのを堪えて、義勇の身体にギュッと抱きつくと、胸の中で小さく囁いた。
「義勇さん、心から大好きです。」
その返答に一瞬だけ、義勇は驚いた顔を見せるが、すぐに笑顔を浮かべた。
「そうか、良かった。俺も心からお前が大好きだ。」
義勇はそう返すと、陽華の身体をギュッと抱きしめ返した。
「義勇さん、私も一ついいですか?」
義勇にギュッと抱きついたまま、陽華が顔だけ上げて、義勇に問い掛ける。
「どうした?」
「私が義勇さんの物なら、義勇さんももう私の物ということで、いいんですよね?」
その問いかけに義勇は「あぁ。」と小さく頷く。
「だとしたら、義勇さんだって、言い寄る女の人が一杯いるんだから、気をつけてくださいね?」
一杯と言うほど、言い寄られた記憶などないが、陽華に条件を課したからには、自分も飲まなければ公平とは言えないだろう。