第14章 進物・番外編 義勇誕生日記念【※冨岡義勇】
「俺も命を賭して任務に励んでいる分、絶対に死ぬなとは言えない。だが、けして気を緩めるな。お前は詰めが甘く、すぐに早合点して突っ走る傾向がある。柱であるならば、常に冷静に対処し、状況判断を怠るな。」
「……あ、はい。」
「それと、人を喰った鬼に情けをかけるな。お前は優しいから、非常になりきれない部分が見られる。それは命取りだ、良く肝に銘じて置け。」
「……はい、銘じますぅ。」
まさかのガチ説教に、陽華の顔がしょんぼりと項垂れる。
「あと、最後に一つ……、」
まだ続くの?
そんなことを思いながら、陽華は目をギュッと閉じると、心して義勇の言葉を待つ。
そんな陽華に義勇は、軽く咳払いをすると、遠慮がちに呟いた。
「誰彼構わず、優しくするな。…特に男に対してだ。」
「はいっ!……え?」
陽華が驚いて、しょんぼりと項垂れていた顔を上げる。すると義勇は、微かに高揚した顔を隠すように、陽華の身体をその胸に埋めるように優しく抱きしめた。
「隊士を続けることに異論はないが、お前はもう俺の物だ。他の男に優しくして、勘違いでもされて、言い寄られたらどうするつもりだ。」
「うにゃっ、俺の物っ!?」
陽華が驚きに目を見開いて、義勇に問いかけるように聞き返すと、義勇は少し拗ねた表情で見つめ返してきた。
「違うのか?」
「ち、違わないですっ!私はもう、身も心も義勇さんの物ですっ!!……というか、」
陽華がチラリと義勇に目線を合わせる。
「私が他の男性に言い寄られるなんて…、そんなこと、絶対にないですっ!」
自分のことは自分が良くわかっている。今まで、人に優しくして、感謝されることがあっても、言い寄られたことなど一度も無いのだから。
そう断言する陽華に、義勇は軽くため息をついた。
「お前はまだ、自分のことをわかっていない。…知らないだろう?お前が他に男に優しく接する度、俺の心がどれだけ揺さぶられたのか…、」
「揺さぶる?」