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【鬼滅の刃】屋烏之愛【新装版】

第14章 進物・番外編 義勇誕生日記念【※冨岡義勇】





「あーもうっ、絶対だめっ!私は義勇さんの誕生日に、美味しくもない鮭大根を出して、義勇さんを幻滅させて…、引導を突きつけられて……、そして……そして捨てられるんですっ!!」

陽華が今にも泣き出さんばかりに、顔を両手で覆いながら、俯いた。

「まぁまぁ、少し落ち着いたらどうだ?」

鱗滝が適当に励ます。

「落ち着いてなんていられませんっ!先生、私はどうすれば良いのでしょうか!!」

今にも泣き出しそうな顔で言われたら、鱗滝も何も答えないわけにもいかない。

「うむ…、後は食材に拘るしかないな。」

「……食材?」

「そうだ、狭霧川のヌシを捕まえるしかない。」

「さ、狭霧川のヌシっ!?」

それはなんぞ?初めて聞く言葉?名前?に、陽華の目がまんまるく開かれる。








鱗滝が言うには、狭霧山を流れる川、狭霧川(鱗滝の弟子がよく落とされる滝があるところ)には、ヌシと呼ばれる鮭がいるらしい。

鮭は通常、生まれた川で数ヶ月を過ごし、海へと下るのが一般的と言われているが、狭霧川のヌシは、海へは下らずに狭霧川に居座り続ける。

出不精の為、その身はデップリと肥えていて、脂のノリが尋常ではなく、特にこの時期は真冬の川の寒さに耐えうるべく、栄養をたっぷりと蓄え、丸々として、プリッした食感と蕩けるような舌触り、仄かな甘さを携えているという。


(※物語上、適当に作った設定です。鮭の生態も定義も何も調べてません。)




 

「先生っ、そのヌシはどこにいるんですか?」

「滝の上流の方で、良く目撃されている。」

「じゃあ滝の上で釣りをすれば、その狭霧川のヌシに会えるんですね!?」

「いや、そうともかぎらん。わしも狭霧山に住むようになって、何十年と経つが、数回お目にかかった程度だからな。」

「大丈夫です!私、そういうのに良く当たるんです、きっと捕まえられます!じゃ、行ってきます!」

口早にそう捲し立てると、陽華は、「先生、借りますね!!」と叫んで、竿と網を掴んで、外に飛び出していった。







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