第13章 進物 完結編【※冨岡義勇】
(そう…あと少しだけ……、)
自分にも言い聞かせるように、心の中でそう呟くと、義勇は陽華の首筋に吸い付くように口づけながら、背中に回した手を、身体の輪郭をなぞるようにゆっくりと動かした。
「んっ!」
その刺激で陽華の身体がぴくりっと震えるが、義勇は構わずにもう片方の手も背中に回すと、ギュッと自分の身体に引き寄せ、密着させる。
(柔らかいな…コイツの身体……、)
薄い布地の寝間着は、陽華の身体の輪郭をくっきりと浮き上がらせ、まるで地肌に触れているようで、義勇を興奮させていく。
(不味い…これ以上は…、)
自分でも、これ以上は危険だと警鐘を鳴らす。
しかし、身体に触れている柔らかな体温が、耳元に感じる戸惑うような息遣いが、鼻腔を擽る愛しい者の香りが、義勇を捕らえて離さない。
さらに、長年求めていた存在が、今腕の中にいるという事実。
傷つけたくはないのに、身体が言う事を利かない。
義勇は背中に回していた手を、陽華の細い腰に回すと、その手をゆっくりと上へと滑らせていく。
「わわっ…義勇さん、それ以上は……っ、」
陽華が慌てて、腰の義勇の手を掴む。これはもう、甘えるとかの部類ではない気がしてきた。
陽華が離れようと、義勇の胸辺りを軽く押すが、そんな小さな抵抗は、火の付いた義勇にとっては何の障害でもなく…、
「陽華……、」
義勇はゆっくりと顔を上げると、陽華の唇を塞ぐように唇を重ねた。
「んーー!」
慌てる陽華の身体をしっかりと抱きしめたまま、優しく床へと押し倒す。
吃驚して固まる陽華の身体に、覆いかぶさるように跨がると、義勇はさらに深く唇を重ねていく。
「んふっ…、んっ…、」
上唇と下唇と優しく食むように唇を重ねていくと、義勇の下で陽華の身体が小さく震える。
(……可愛い。)