第13章 進物 完結編【※冨岡義勇】
(最後にとんでもない爆弾を、投下していったな、あの人。……とりあえず、一旦忘れよう。)
ほんの数時間前に、漸く想いを通じ合わせたばかりだというのに、男の本能をむき出しにして、嫌われたくはない。
義勇が気を取り直し、陽華に視線を戻す。すると陽華は、妙が帰ってしまったことを残念に思っているのか、すこし寂しげな表情を浮かべていた。
「そっか、妙さん帰っちゃったのか。」
ずっと応援してくれていた妙に、報告したいことが山ほどあったのに。
(でもそれも、明日報告すればいいか……、)
などと考えていたら、ふとある事に気がついた。
「あれ…、ちょっと待って……、」
(…妙さんがいないってことは……、もしかして、今は義勇さんと二人きり!?)
その事実に気づくと、いきなり緊張で身体が強ばる。
陽華は無意識のうちに、側にあった掛け布団を掴むと、自分の胸元辺りまで引き寄せた。
「どうした、寒いのか?」
義勇が問いかけると、陽華は目線を泳がせながら、「いや…別に……そういうわけでは……、」としどろもどろに答える。
(……あからさまに、警戒し出したな。)
陽華の態度を見て思う。やはり、先程は少しやりすぎたか?そう反省しつつも、あまりにも分かり易い態度に、笑ってしまいそうになる。
「別に取って食ったりはしない。そんなに警戒するな。」
「あ…、はい。」
それでもまだ、陽華の顔は強張ったままだ。
このままだと、全ての触れ合いを拒否される可能性もある。義勇は先手を打つように手を差し出すと、優しく問いかけた。
「こっちに、来るか?」
陽華の目が少し戸惑いぎみに、その差し出された手を見つめる。
(どうしよ…、怖い……、)
あの手を掴んで、またさっきのような事態になってしまったら……、また混乱して、頭が真っ白になって、気を失ってしまうかもしれない。そう思うと少し怖い。でも……、