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【鬼滅の刃】屋烏之愛【新装版】

第12章 進物 後編【冨岡義勇】





「陽華っーー!」

青ざめた顔で、義勇が走り出す。


気づいた虚無僧が鎖をグッと掴み、勢いを収める為に力を込める。しかし間に合わず、鉄球は陽華のいた場所を踏み潰すように直撃した。

しかし、鉄球がのめり込んだ床には、陽華の姿はなかった。驚いた義勇が辺りを見回すと、陽華は数メートル先で、天元の腕に抱えられていた。

「わっ!宇髄さん、ごめんなさいっ!ありがとうございます!!」

天元が陽華をゆっくりと下ろす。そこに義勇が駆け寄ってきた。

「宇髄、感謝する!」

「気にすんな。丁度良く、コイツの近くにいたんでな。」

(つーか、お互いに怪我しないように、見守るのが俺の役目だしな。)

「しかしよ……、」

天元は陽華の身体に回していた掌を見つめると、にぎにぎと握っては開いてを数回繰り返した。

「陽華お前、脱いだら凄い…っていうのも、あながち間違ってなさそうだな?…よかったな、冨岡っ!」

にこやかに義勇にそう話しかける天元に、陽華も義勇の顔も真っ赤に染まる。

「きゃー!!宇髄さん、サイテーです!」

「宇髄貴様!破廉恥だぞっ!」

そう言って、詰め寄る二人をハッハッと笑って受け流すと、天元は陽華の目を見て忠告した。

「やっぱりお前、その格好じゃ無理だな。もう後方支援に回れ。」

「うう……、」

悔しい…、けど、どう見ても足手まといにしかなっていない。でも、逃げ出すなんて、剣士として、柱として不甲斐なさすぎる。

「皆さん、私が今からすること、見なかったことにしてください!!」

陽華はそう叫ぶと、草履と足袋を脱ぎ捨て、着物の裾を掴んだ。それを大きく捲りあげると、その先の部分を帯の内側へとしまい込む。






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