第12章 進物 後編【冨岡義勇】
「えぇーー!なんですか、ここは!?」
一階の全ての伽羅倶梨を解き、階段を降りて行った先。そこの扉を開くと、ぱーっと光景が変わった。
そこは他の部屋と違い、天井も高く、開放感のある広い造りをしていた。部屋全体を明るい照明が降り注ぎ、四方を緑と花で囲まれた癒やしの空間。
「なんで忍者屋敷の地下にこんなものが……、」
真っ当な疑問を抱え、首を傾げる
陽華に天元も、
「な。何でこんなモンがあんだろうな。」
そう気のない返事で返す。
十中八九、この作戦の為だろうが違和感が半端ない。
「宇髄さん、【愛の鐘】は何処にあるんですか?」
「ん?」と天元は辺りを見回すと、部屋の奥にある扉を指さした。
「あの扉の向こうだ。」
「おぉ〜。」
とうとうここまで来たのかと、感慨深く扉を見つめる
「そんで、お前はあの中で、冨岡を待つんだ。」
部屋の中央に、草花で出来た小高い丘がある。その上に設置された大きな鳥かご。
「なんであんなところに、ちょうどよく鳥かごがあるんだろ?」
陽華の再度の疑問に、天元が首を傾げる。
「さー、何でだろうな?」
そりゃ、これもお館様が考えたこの作戦に必要だからだろうな。
天元はそう思ったが、軽く流して適当に相槌を打つ。
「あんま深く考えんな、はよ行けっ!」
「は、はいっ!」
陽華は丘に近づくと、鳥かごに続く階段を見上げた。
(あの上で待ってれば…、義勇さんが助けに……、)
緩みそうになる顔を立て直し、陽華はゆっくりと階段を登った。
鳥かごまで後、数メートル。全貌が見え始めたかごの中は、花の絨毯が敷き詰められていて、お姫様が捕らえられるには絶好の場所。
陽華はそうっと、かごの扉を開けて、一歩足を踏み入れた。そうして中を覗き込むと、次の瞬間、その目に写った光景に、陽華の目が大きく飛び出した。
「え、ええ??な、なんで?」
「どしたー?」
「宇髄さん、大変ですっ!ここに……、義勇さんがいます!」
「はぁ!?」