第12章 進物 後編【冨岡義勇】
ゴーンっ!
突然、上の天井が開いて、落ちてきたタライが天元の頭に直撃した。
「お前なぁ……」
「あ……、ごめんなさい。あれ…これだったかな?」
またもや、適当にポチッと押す。天元は嫌な予感がし、その場から急いで離れるが、今度は移動先の天井が開いて、上から水の入ったバケツが落ちてきた。
「つ、つめてぇーー!!」
「ごめんなさい。……ぷっ!あは、あははっ!」
バケツがちょうどよく天元の頭にハマっていて、陽華は耐えきれず、笑い声を上げる。
「何、笑ってやがんだ!お前はもう、ボタンから離れろ!!」
天元から怒号が飛ぶが、陽華は楽しそうにニヤッと微笑む。
「なんか、楽しくなってきました!」
ポチッと、また適当にボタンを押した。
「あっ、お前っーー」
天元が慌てて身構える。しかし、今度は何も起こらなかった。
「陽華、もういい加減にっ…」
天元が陽華の腕を掴もうと手を伸ばした。しかし次の瞬間、
バンッ!
天元の上の扉が開いて、その中から……、
「きゃーー、宇髄さん、どいてくださいっ!!」
「なっ、胡蝶っ!!うげっ!」
「し、しのぶちゃんっ!?」
しのぶが天元の上に落ちてきた。
そのまま、天元を押し潰して、しのぶが陽華の目の前に舞い降りる。
その光景に陽華の目がキラキラと輝いた。
「しのぶちゃん、会いたかったっ!!」
「あら、そんなに喜んでくださるなんて……」
しのぶは嬉しそうに笑顔を浮かべて、陽華を見る。陽華もそれに嬉しそうに笑顔で応えるが、ふと思い出してしのぶの周りを見た。
「あれ…そういえば、義勇さんは?」
「すみません、途中ではぐれてしまいまして……」
「そっか。」と悲しげに呟くが、考えてみたら、しのぶに宣言する絶好の機会じゃないだろうか?
陽華はしのぶの手を両手で掴むと、真剣な面持ちでしのぶを見た。