第12章 進物 後編【冨岡義勇】
チリンチリンチリンっ!
チリンチリンチリンっ!
突然、部屋内に響き渡る無数の鈴の音。そして……、
「曲者だー、であえであえっ!」
そう響いた声と共に、壁や天井の隠し扉が開き、そこから複数の忍者達が入ってきた。
「わっわっ!忍者さんが出てきました!」
楽しそうに目を輝かせる陽華と、完全に面倒くさそうに顔を顰める天元は、あっという間に忍者達に囲まれた。
「宇髄さん、大変です!忍者さん達に囲まれました!!」
「誰のせいだよっ!」
そうこうしてるうちに、すぐに自由を奪われ、拘束される天元と陽華。
「お前達を、地下牢へと連行する!」
そう頭らしき忍者が言うと、
「はーい、そこまで!」
と天元が忍者達に声を掛け、拘束していた縄がするりと床に落ちる。
「貴様、どうやって…」
驚く忍者達を一瞥すると、天元は隊服の胸ポケから、通行手形を取り出した。
それを忍者達の前でヒラヒラと振る。
すると忍者達は驚きの顔で、仲間内で目配せを始めた。
「おい、あれ…例の?」
「あぁ。アレ持ってるのは、シカトしろって……」
「そうだな、じゃあ…」
忍者達は話し合いが終わったらしく、天元と陽華に向き直ると、
「では、俺達は失礼する!」
一言声をかけて、「撤収!!」と入ってきた扉から、わらわらと出ていった。
部屋に残ったのは、縄で拘束され、床に転がった陽華と、笑顔で手を降る天元の姿だった。
「あれ?…忍者さん達は?」
「手形見せたら、帰るように伝えてあんだよ」
「えーー!地下牢に行ってみたかったです!」
「アホかっ、冨岡と胡蝶を探し出すのが先だろっ!」
「はうあ、そうでしたっ!」
天元がイライラしながら、陽華の拘束を解く。拘束が解かれると、陽華はまたボタンの前に立った。
「お前はもう触んなっ!」
「今度は大丈夫ですから、エイっ!!」
陽華が、また適当にボタンを押す。
「だから、そこじゃ……」