第12章 進物 後編【冨岡義勇】
「フンッ!!」
またもや怒りの手刀が陽華の脳天に突き刺さる。
「痛ーい!!」
「調子のんなっ!俺はな、付いてるところには付いてる、ボンッキュッボンッつー、うちの嫁達みたいのが好きなんだよ!お前みたいなちんちくりんは、お呼びじゃねーの!」
「ひっどーい、ちんちくりんって言ったぁーー!!」
陽華が目に涙を貯めて叫ぶと、天元は面倒くさそうに舌打ちする。
「泣くなっ、めんどくせーな!」
「だって!!私だって、脱いだら凄いんですからっ!!ボンッキュッボンッのぷりんっ!なんですから!今、証拠見せますから、見て下さい!」
陽華が着ていた着物の襟に手を掛けると、慌てて天元がそれを止めた。
「わーったわーった!いいから、それは冨岡の為に取っておけ。」
「うう…ぐす…、はい。」
悲しげに鼻をすすり、えぐえぐと泣く姿に、妻の一人を思い出して、天元も思わず笑いを堪える。
陽華が落ち着くと、天元は辺りを見回した。
「でも今は取り敢えず、あいつ等と合流が先だな。」
「こっちの入り口って、もう一つの入り口と繋がってるんですか?」
「あぁ。細かい裏通路は繋がってるし、最終的に辿り着く場所は、鐘のある地下庭園になってる。」
「ふぁっ、愛の鐘!?」
いろんな事が有り過ぎて、忘れていたが、そう言えば自分の目的は【愛の鐘】だった。
陽華の顔がほんのりと高揚したのを確認すると、天元がニヤリと微笑んだ。
「なんだ?冨岡と一緒に鳴らしたいのか?」
「はい!でもその為には、しのぶちゃんに宣言して、義勇さんに告白しなきゃ駄目ですね!?そうと決まったら、さっそく行きましょう!!」
「待て待て、焦るな!お前、忘れてるかもしれねーが、ここは伽羅倶梨迷宮だぞ?」
そう言って、通路を歩き出した天元が、通路の先にある扉の前に止まり、その扉の取っ手に手を掛けた。
「まずは各部屋にある伽羅倶梨を解除しなきゃ、先には進めねーんだよ。」
天元がゆっくりと扉を開ける。
そしてその先に広がった光景に、陽華は「おぉ〜!」と驚きの声をあげた。