第12章 進物 後編【冨岡義勇】
「お前な。あんなことで破廉恥とか言ってたら、この先どーすんだ?冨岡と恋仲になったら、もっと破廉恥な事だってすんだぞ?」
「ふぁっ!義勇さんと…恋仲!?…は…破廉恥………、」
その瞬間、陽華の脳裏に義勇とのめくるめく破廉恥行為が浮かび上がった。
ー 氷渡陽華妄想タイム
乙女の妄想全開ばーじょん
(嘘…、何…この状況……、)
私は今、鬼殺隊の中でも屈指の美男子、水柱の冨岡義勇に押し倒され、組み敷かれている。
「覚悟は…いいな?」
そう問いかける切れ長の、どこまでも深く澄んだ紺碧の瞳が、私を真っ直ぐに見下ろしてくる。
か、覚悟!?
ずっと心を寄せていた想い人の、その一分の隙もない端正な顔立ち、その瞳に射抜くように見つめられては、決心も揺らぐ。
……やっぱり、少し怖い…かも、
動揺し、黙り込んでしまった私を見て、それを肯定と捉えた義勇さんは、ゆっくりと覆い被さるように顔を近づけてきた。
「あ、あのっ……ぎゆ…さん!やっぱ…ちょっ…と……、私…まだ……、」
恥じらいながら、義勇さんの胸に手を当てて、軽く押し返す。しかし……、
「もう、遅い……、」
義勇さんは優しく微笑むと、押し返す私の両手の手首を優しく掴んだ。
そして、もう決心が揺らがぬようにと、頭の上の床に押し付け、軽く拘束する。
「陽華…好きだ、愛してる。」
そして再度、義勇さんの顔が私に向かって近づく。
もう逃げられない。私は覚悟を決めると、目を瞑り、口を真一文字に閉じて、義勇さんを待った。
心臓が痛いくらいに飛び跳ねてる。
もう何も考えられないくらい頭が混乱してる。
真っ白になりそうな意識の中…、義勇さんの柔らかな温もりが、私の唇に優しく触れた……。
「にゃわあぁーー!!やだぁ、恥ずかしいぃ!!」
陽華が興奮して、叫び声を上げながら、手をブンブンと振り回すと、天元が宥めるように手を前に出す。
「どうどう、落ち着けっ!!頭の中お花畑はそこまでにしろ。」