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【鬼滅の刃】屋烏之愛【新装版】

第12章 進物 後編【冨岡義勇】





天元は気合を入れ直すと、歩いていた足を止め、陽華に方に身体を向けた。

「あのなぁ?気にするなと言われても、お前の取り柄なんぞ、元気!笑顔!ぐらいしかねーんだから、そんな顔してたら、気味がわりぃんだよっ!」

その言葉に、真顔だった陽華の顔が悲しげにくしゅっと崩れる。

「ううぅぅ……だってぇ。」

すぐにでも泣き出しそうに瞳を潤ませる。だがすぐに、怪訝な表情に変わると、恨めしげな眼で天元を見上げた。

「…って言うか、宇髄さん。私の取り柄、それだけって酷くないですか?」

「いや、事実だろ?…で、一体どうしたんだよ?」

「それは……、」

陽華が言いにくそうに言い淀むと、天元はニヤッと微笑んで、核心を突くように言葉を投げ掛けた。

「どうせ胡蝶に、冨岡が好きだから譲ってくれとでも言われたんだろ?」

「ふぇっ!?なんで分かるんですか!?」

「んで、気を使って胡蝶に譲っちまって、お前は今更、自己嫌悪に陥ってる。そんなトコだな。」

「凄いです!!宇髄さんて、超能力者だったんですか?全部当たってます!」

陽華が驚いて目をまん丸に見開く。すると天元はフッフッフと怪しげな笑みを浮かべた。

「愚か者。俺様は”愛の伝道師”、宇髄天元様だぞ?この界隈じゃ、派手に名を馳せてんだ!お前達のお子ちゃまな恋愛事情なんざ、全てお見通しなんだよ。」

天元の顔が得意そうにドヤる。

「宇髄さん、ただの破廉恥おじさんじゃ、なかったんですね!?」

「誰が破廉恥おじさんだっ!ふんっ!」

天元の怒りの手刀が、陽華の脳天に直撃する。

「痛っ!!………うぅぅ、だってこの前、お屋敷に伺った時に須磨ちゃんのお尻を触ってたじゃないですか!」

殴られた頭を擦りながら、陽華が涙目で天元を睨む。

「あぁ!?……あれか。ありゃ須磨の奴が、偵察任務に行きたくねーとか駄々こねるから、文字通りケツを引っ叩いて行かせてやっただけだろ?お前だって、一部始終見てただろーが?」

「でも、人前で女の人のお尻を叩くなんて、やっぱり破廉恥です!」

陽華がそう言って、鼻の穴を膨らませると、天元はフンッと鼻を鳴らした。






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