第11章 進物 中編【冨岡義勇】
そう言って手を合わせたままに微笑む耀哉の姿を見て、その場にいた全員が思った。
(いや…陽華云々より、絶対的にお館様が楽しんでるだけだよね?)
そう。お館様は、娯楽に飢えていた。
「何ということだろうか。お館様の悪い癖が出てしまったようだ。」
行冥がそんな耀哉の姿に涙しながら呟くと、その隣では恋柱・甘露寺蜜璃が嬉しそうに微笑んだ。
「私は全て、お館様の望むとおりに従います。陽華ちゃんはお友達だし、冨岡さんとは幸せになって貰いたいわっ!ね、しのぶちゃん?」
蜜璃が目配せを送ると、蟲柱・胡蝶しのぶはこっくりと頷いた。
「そうですね、私も陽華さんの事は大好きですし、冨岡さんも……一応はお仲間ですから、お手伝いしたいと思います。」
そのさらに横では、音柱・宇髄天元も派手に相槌を打った。
「俺も派手に賛成するっ!いいんじゃねぇか、楽しそうだしな。」
「心より尊敬するお館様の考えだ。俺も全力で協力する!」
炎柱・煉獄杏寿郎がニッコリと微笑む。
「僕はどっちでも…、あっでも…陽華さんは、こんな僕でもよく喋りかけてくれるから……協力してもいいかな…。」
霞柱・時透無一郎がそう答えると、小芭内が首を振った。
「協力しない協力しない。そもそも冨岡は大嫌いだ。」
その横では実弥が、怒りで軽く身体を震わせていた。
「鬼を滅殺してこその鬼殺隊。色恋沙汰などに現を抜かす時間などありませぬ。冨岡・氷渡両名にはそれなりの処罰を……」
実弥がそう言いかけると、耀哉は「仕方ないね。」と呟き、深くため息をついた。