第11章 進物 中編【冨岡義勇】
「畏れながら、柱のみで行うはずの会議に、また無関係な者が紛れ込んでいるようなのですが、ご説明頂きたく存じます。いかがでしょうか?」
とりあえず、会議と言ったら問題を起こさないと気がすまない風柱・不死川実弥が、異質な存在の炭治郎をギロッと舐めつけてくる。
(そんなに睨まないで欲しいな。何で呼び出されたのか、俺だって聞きたいよ、とほほ。)
容赦なく殺気の眼差しを送ってくる実弥から逃れようと、視線を反らす炭治郎。そこにお館様・産屋敷耀哉からの助け舟が入った。
「実弥、驚かせてしまって済まないね。でも此度の任務、私が考える計画には彼の助けが必要不可欠なんだ。だから炭治郎がこの場にいることを許して欲しい。」
お館様のお願いに不本意ながらも黙り込む実弥の横で、蛇柱の伊黒小芭内は辺りを見回すと、不審な顔でお館様に問いかけた。
「お館様、この大切な緊急柱合会議の場に、冨岡・氷渡の両名がいないというのはどういうことですか?」
小芭内の質問に耀哉は嬉しそうに微笑むと、ポンッと掌を打った。
「良いことに気がついたね、小芭内。まさしく今回の会議は彼らの事についてなんだよ。」
その瞬間、その場にいた全員の頭に疑問符が湧いた。
「皆も知っているとは思うが、陽華は義勇の事が大好きだ。」
唐突に意味不明な話しをしだした耀哉に、ん?何の話しだ?と、居合わせた面々が軽く視線を合わせて目配せする。
「だ、だから何だというのですか?」
何やら不穏な空気を感じ、少し引き気味に実弥が聞き返すと、お館様はさも労しそうに顔を伏せた。
「私は常々、陽華の想いが義勇にどうやったら届くのかを考えていてね。実は三日後は陽華の誕生日なんだ。その日、二人が一緒に居られるように手配をしている。
今回の任務、皆にはこの二人を大いに盛り立てて貰いたいと思っているんだ。」