第11章 進物 中編【冨岡義勇】
ぐうぅぅ……
盛大にお腹が鳴り、陽華は慌てて腹を抑えると顔を真っ赤に染めらせた。
そういえば、いつもだったらこの時間はお風呂に入って、妙が用意してくれた美味しいご飯を食べてる時間だ。
真っ赤になる陽華に、笑ってる顔が見えないようにと義勇は視線を反らすと、
「まずは腹ごしらえが先だな?」
と言葉を掛けた。
「…………はい、すいません。」
その返事を確認すると、義勇はしょぼくれる陽華と共に、任務などの帰りにこの街に来たらよく行く定食屋へと足を運んだ。
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義勇とも任務が重なった時など、よく訪れる定食屋に入ると、馴染みの女将さんが「いらっしゃいませ!」と元気に出迎えてくれる。
義勇と陽華は軽く挨拶を返すと、空いてる席に座ってくれと促された。
店内は、こちらもお昼前のせいか客の姿はそんなにない。陽華は落ち着ける席を探そうと店内を見渡す。すると店内の奥に見知った顔を発見した。
「炭治郎、善逸っ!?」
小走りに近づき、店内で食事してる二人組の少年に声をかけると、二人は陽華同様驚いた表情を浮かべて顔を見合わせた。
この二人は、後輩の竈門炭治郎と我妻善逸。
炭治郎は鱗滝左近次の元で修行し、善逸は陽華が呼吸を雷に変えた時にお世話になった、鱗滝の友人で元鳴柱の桑島慈五郎の元で修行しているから、二人共陽華にとっては弟弟子に当たる。
「二人共、なんでここにいるの?」
陽華の問いかけに炭治郎は善逸をチラ見すると、陽華に視線を移してこう答えた。
「俺たちはこの付近で任務があって…、なぁ善逸?」