第2章 情欲【※不死川実弥】
『先生のこと、ずっと見てたんですよ。エロい身体してるなって?』
『や、やめてください。〇〇…先生…』
テーブルの上に置いたノートパソコンから流れる、卑猥な映像を見ながら、実弥は缶ビールを飲み干した。
「ぜんっぜん。盛り上がんねーな」
陽華にフラれ、自分を慰めようと、帰宅途中で借りてきたエロビデオ。しかし、ちっとも気分が乗らない。
場面は、教室の机の上に寝かされた女優が、男優によって激しく突かれるシーンに変わった。
女優の嘘っぽい喘ぎ声が、部屋内に響き渡ると、実弥の脳裏にあることが浮かんだ。
(教室かァ…、俺も陽華と…)
画面の中のシーンが、陽華との情事だと想定したら、途端に下半身が熱くなる。
段々と布地を押し上げるように膨張するそれを、実弥は恨めしそうに見つめた。
(…本当だったら、今頃はアイツと……)
実弥は履いていたスウェットパンツの中から、熱くなった自身を取り出すと、その根元を掴み、先端へと優しく扱いた。
「……っ!」
そのまま、モノを掴んだ手を、ゆっくりと上下に動かしていく。
画面の映像なんか、もう目に入らなかった。
浮かぶのは、陽華の艶めかしい肢体。あの実弥を求めるように潤む瞳と、可愛い声……。
「はぁ…っ、…陽華…っ」
実弥の手の動きが速まった。次第に深い快感が実弥を襲った。
「…くっ、…出るっ」
先端から吐き出された欲望を、ティッシュで受け止める。そのまま絞り出すように二、三度、軽く扱くと、実弥は荒くなった息を吐き出しながら、天井を仰いだ。
「はぁ…はぁ…、俺は…何してんだァ…」
若干の虚しさを感じながら、実弥はプレイヤーの停止ボタンを押し、汚れたティッシュを、ゴミ箱に向かって投げつけた。
「クソっ……風呂でも、入るか」