第67章 ❤︎ 治店長とバイト店員の初体験 宮治
シャワーが終わるといちかと入れ替わる。短い会話の後はただ待つだけの時間。何を考えていいのかも分からず、ただぼんやりとベッドに腰掛けてその時を待つ。何も起こらない一人の時間はあっという間に過ぎた。部屋に入ってから25分。もうすぐ宿泊料金に変わる。緊張感を隠せないまま静かに浴室の扉が開いてバスタオル一枚を体に巻いたいちかが出てきた。
「お待たせしました」
「なんちゅー格好してんねん、バスローブあったやろ?」
「あったけどもうええかなぁって」
「えらい大胆やな。初めてのくせに」
「決意表明ってやつ」
「なんやねん、それ」
「どうしたらいい?治君の目の前でバスタオル、バッと広げる?」
「そんなんええて。とりあえず、俺のとこくるか?」
「うん。いく」
ベッドの上で向かい合わせに座る。柔らかそうな白い素肌はバスタオルで隠されていても体のラインが視界に入るだけで鼓動は高鳴る。
「ヤバい。今、私の目の前にめっちゃくちゃイケメンがおる」
「褒めてもなんも出ぇへんで」
「やっぱり、私の好きな人は治君だけやわ」
「いつから俺のこと好きやったん?」
「もうずっと前から。いつからなんて分からへん」
〝治君が好き〟そう唇が動く。じっと見つめてくる瞳に吸い込まれてしまいそうだった。
「キスしてもいい?」
甘い誘惑に理性が崩れていく。いちかの柔らかな唇の感触が迎え、この瞬間に今までの関係は終わりを告げる。今はもう堕ちていく感覚すら心地いい。
「初めていちかを女として見てるわ」
「嘘?ほんま?」
「自分でも信じられへんけど」
「嬉しい。泣きそう」
「泣く暇とかないけどな」
そう告げて次は俺から唇を奪った。キスすら初めてなのにすぐに馴染んで舌を絡めながら角度を変え深く口づける。もどかしいバスローブを脱ぎ捨てながらいちかの体を抱き寄せた。