第64章 ❤︎ 木兎光太郎はスローセックスを覚えた
「なぁ、どうしたい?」
「んー…、じゃあキスからかな」
顎を上に向けたいちかにリクエスト通り唇に口付ける。唇の柔らかな感触には心臓は跳ねる。いつもならここからディープキスにもってってそのままの勢いで…って流れだ。でも今日はそうしたくない、意を決して一度唇を離してみる。
「もう一回しよーよ」
色づき始めた声色に今度はいちかの方から唇を奪われた。互いの唇を触れ合わせ感触を確かめては離し、また唇を重ね合わせることを何度も繰り返す。緩やかに溜まっていく熱に体の中心から火照らされていくのを静かに感じていた。
「暑いね、布団被ってると」
「もういらない?」
「うん。いらない、かな」
布団を跳ね上げて足元へ追いやった。全身を晒されたいちかは恥ずかしそうにはにかみながら俺に抱きついてくる。
「ほんとにしていいの?」
「私だってそのつもりだったもん」
「じゃあ全部脱がしてもいい?せっかくの可愛い下着だったけど」
「褒めてくれたから十分。」
ブラを外すと小ぶりな胸の膨らみと肌色の突起が溢れてそのまま口付けたくなる衝動を抑えながらショーツも外した。ベッドに横になりながら下着を脱がし全裸になった全身をゆっくりと探るようにしばらくなぞっていく。
「ん……んふ……」
あえて胸や下半身には触れない。細い首からうなじ、小さな肩、腕、手のひら、指先、赤葦から教えてもらったフェザータッチで体のラインを探るようになぞるだけ。
「くすぐったい?」
「ん…。少しくすぐったいかな。でも優しく触れられるのが気持ちいい」
「そう?…こことか?」
うっすらと肋骨の浮かぶ脇腹はくすぐったいようで体が跳ねる。味わうようにゆっくり丹念に柔らかな刺激を繰り返し続けた。