第62章 ❤︎ 射精管理 孤爪研磨
数分後、寝室のドアがゆっくりと開いた。視界が研磨を捉えた瞬間、ワインの入ったグラスは揺れ分かりやすいくらいに心臓が跳ねる。
「飲んでるの?」
「うん」
「なんで?」
ベッドに腰掛ける私の隣に座ってじっと見つめる。波打つような心臓の音が聞こえてしまいそう。
「これで緊張を紛らわせてました」
「緊張?意味分かんないんだけど」
私の言葉に怪訝そうに顔をしかめる。そりゃそうだ。もういい大人だし、久々だとはいえ初めてでもない、なんなら同棲だってしてるのに。
「だって久しぶりなんだもん」
「そうだっけ」
「そうだよ」
「じゃあそうなのかも」
私よりもずっと忙しい研磨にとっては所詮その程度なのかもしれないけど、今夜のお誘いは直に嬉しいし期待だってしてしまう。
「あ、ごめんね。これ飲んじゃうね」
「待って。俺も飲む」
研磨ってワイン好きだっけ?と思いながらもグラスを受け取ると一口口に含む。こくんと喉を鳴らす、ただワインを飲んでる姿だけなのに見惚れてしまうくらいに格好良い。
仕草をぼんやりと見つめていたら不意に唇を奪われ、薄く開いた隙間から直接ワインが注がれた。
「……っ」
思わず目を閉じた。さっきまで飲んでいた同じワインとは思えない。うまく飲み込めなかった液体は溢れて素肌を伝っていってその感覚だけでどうにかなってしまいそうだ。
呼吸をする間に舌が触れ絡む。濃厚なキスに理性が追いつかなくて気がつけば柔らかいマットに押し倒されていた。
「ごめん」
「え?」
「さっきの言い方。俺が悪いよね…。最近忙しかったからとかそういう言い訳もできないね」
苦笑する研磨に見下ろされ、胸がキュンと痛んだ。〝ごめん〟と言わせてしまうことが不甲斐ない、でも逆に嬉しくもあった。
「今から埋めさせて?」
視界が研磨で埋まり、ワインの香りがまた口腔内に広がった。優しく口内を舐め取っていく舌先が強弱をつけながら優しく犯す。いつの間のかシーツの上の指は研磨の指に絡み合い、体の中心から熱が上がっていくのを感じていた。