第62章 ❤︎ 射精管理 孤爪研磨
「お疲れ様でした」
でも研磨を労う気持ちも嘘じゃない。面と向かってこうやって伝えるのも久しぶりだけど、今みたいに私との時間を作ってくれるのは素直に嬉しい。
「ねぇ」
「ん?」
「こっち」
手を引かれ〝来て〟と言われるがまま気がつけば研磨に抱き締められていた。研磨の髪が触れ、研磨の匂いがする。
「いちかは?」
「え?」
「疲れてる?」
少しだけ上擦った声に体に緊張が走る。これはもしかして…って淡い期待がじわじわと湧き上がっていく。
「今日はお昼が遅かっただけでそんなに疲れてないよ?今週まだ2日しか仕事してないし」
「じゃあ今から俺に時間くれない?」
「えと、それは…」
「したい」
研磨にしては珍しすぎる直球なお誘いだった。心音は速くなる一方なのに思考はフリーズしてなんて答えていいのか分からなくなる。
「いちか、顔赤くなってる。子供みたい」
「だって…」
「否定しないならOKってことでいい?」
「………はい」
「じゃあ俺もシャワーしてくる。先に寝室で待ってて」
くしゃっと頭を撫でられたけど、恥ずかしさで目を合わせることもできない。たった数秒の会話なのに思考能力がゼロになってしまった。
研磨を待つ間、とても正気でいられなくてワインをグラスに一杯だけ注ぐ。アルコールは好きじゃないけど、こんな時は強い味方になってくれる。いつもと変わらない寝室ですらリラックスなんてできそうにないから。