第62章 ❤︎ 射精管理 孤爪研磨
「…いちか?」
研磨の声にハッと現実に戻る。覚醒していく意識と私を覗き込む研磨が視界に入った。
「ごめん、私、寝てた」
「起こしてごめん。こんなとこで寝るの珍しいよね」
「仕事終わってシャワー浴びたら眠くなっちゃって…。研磨は?今は休憩?」
「そう。編集がひと段落ついたから」
「そっか。あ、なにか食べる?作るよ?」
「いや、いらない。昼遅かったから」
「そうなんだ。実は私も。急遽明日が休みになっちゃって仕事片付けてたら14時。それからお昼だったの」
「明日休みって、なんで?」
「なんか知らないけど上司が使ってない有給使えってさ。休みたい時には嫌味言うくせにほんと勝手だよね」
だから研磨ともなかなか予定が合わない、一緒に住んでるけど私たちがすれ違いの生活になっちゃうのは上司のせいでもある。
「じゃあ俺も明日はオフにする」
「できるの?」
「っていっても最低限やらなきゃいけないことはするけど」
「休み、私に合わせてくれるの?」
「別にいつ休みにしてもいいし。決まりも特にないから。最近はクロのせいで忙しかっただけだし」
「あ、じゃあさ。明日、出掛ける?春の陽気になるんだって」
「んー…、明日の気分で返事していい?」
「もちろんだよ。研磨も疲れてるもんね。今週は取材もあったし」
「ほんと余計な仕事だよね。何回も断ったのに」
「黒尾先輩からの頼みだったもんね」
「だから余計に面倒臭かった。そういうの嫌いだし。文句言っとく」
「でもちゃんと仕事として引き受けたのも知ってるよ。遅くまで黒尾先輩と打ち合わせもしてたし」
「打ち合わせっていってもほとんどクロが喋ってただけ。だから疲れた」
饒舌な黒尾先輩と無口な研磨の打ち合わせなんて想像するだけでつい笑ってしまう。