第62章 ❤︎ 射精管理 孤爪研磨
一週間前は雪がちらついていたのに19時の天気予報では明日の最高気温を伝え、春らしい陽気になるとつけ加える。窓から見える街路樹はまだ新芽も出ていないけどもう春なんだなとふとそんなことを思った。
でも気温差の激しい季節の変わり目は得意じゃない。不安定なのは気候だけじゃなくて研磨と同棲して2年目になる私もそう。昼職の私とフリーな生活を送る研磨とはすれ違い生活だしお互いの時間が重なる時間は朝も夜も関係なかった。
目を閉じて思い浮かべる光景は私を見つめる真剣な眼差し。夜のせいか欲求不満のせいか分からないけど何故か抱かれている時を思い出してしまった。
真昼間の厚いカーテンから漏れる日の光に目を細める表情も好きだし、真夜中の暗闇で吐息だけが重なる湿っぽい空気も好き。求めてくれたら私はいつだってその瞬間にスイッチが入る。
「最近、そういうのしてないなぁ」
嫌でも脳裏にはいつぞやの夜のことが描かれる。鋭く射抜くような視線だけで体が火照ってしまうような時間。何にも言わないけど自分が研磨にとって特別な存在でいられるんだって感じられた。私だけをちゃんと見てくれてるって今も信じてるけど、時々触れて欲しくて恋しくなる。
だけど現実は1人ソファに疼くまって寝転がってるだけ。視線の先の閉ざされた扉の向こうには研磨がいるのに今は会えない。扉が開いて私の名前を呼んでくれたら、抱きしめてほしい、なんて淡い期待をため息に溶かした。