第56章 ❤︎ 射精管理 宮侑
けどいちかにはなんか品がある。長い睫毛、白い素肌、優しく上下に扱く指先、髪の毛から香るいちかの香り。
「やば、なんこれ…。めっちゃ気持ちええやん。ほんまに初めて?」
「んっ…、初めて」
絶妙な力加減で手で扱き、舌先で先端をチロチロと舐めていたかと思えば滑るように喉奥まで咥えて上下にストロークする。想定外の快感に思わず息を呑んだ。
「ちょお、待てって…」
慌てて口から引き抜いた。いちかの口元から唾液の糸が名残惜しそうに繋ぐ。
「今、めっちゃイキそうになった。口の中に出してもええ?」
「早過ぎへん?まだイッたらあかん」
「なんでやねん」
「それじゃ練習にならへんやろ?」
俺の相棒とも言える分身の根本をきゅっと握りまるで人質のように扱う。
「いや無理やって…。出したい時に出させてや」
「ダメ。我慢して」
先端からは透明な液体が湧き水のように溢れそれをいちかがジュルっと吸いあげる。いちかの手は唾液やカウパー液でぬるっぬるで上下する度に快感が走りニチャニチャと湿っぽい音を奏でている。
「ごめんって。な、許して?」
「まぁだ」
「いちかちゃん、ほんま…っ。ほんまお願い!…な?」
「あかん」
泣きたかった。いっそ泣いてしまいたかった。きゅっと指で締め付ける感覚も次の快感の波には抗えなかくて1ミリの余裕もなかった。自分の情けなく喘ぐ声を聴かせてるのとかめちゃくちゃ格好悪いとか全部どうでもよくてただ願いは一つ、イきたい、それだけ。
「…あ、あっ、ああ…っ、いちか…」
「んー」
「限界、無理、死ぬ。死ぬ前にイカせてッ!」
「……しゃーないな。……ほな、ええよ?」
長年苦しめられた呪いが解ける呪文のようにも聞こえた。無理矢理分散させていた意識がまた全集中していく。いちかの視線は俺にずっと向けらているのを感じながら息を吐いた。