第53章 ❤︎ 俺のものだから返してもらうだけ 及川徹
高校生ながらに感じた愛おしさ。あの時はそんな感情、恥ずかしくて言葉になんてできなかったけど今なら言える気がした。
「…いちか 、愛してる。俺を選んでくれるよね?」
「…うん。……徹しか見えない」
「俺と結婚しよう」
「うん…」
零れ落ちそうなほど目に涙を浮かべながら微笑む。夫君といた時のいちか の作った笑顔なんかじゃなく、世界一幸せそうに見える。
「待たせてごめんね」
「遅すぎだよ、バカ……」
「じゃあもうこのまま子供ができちゃってもいいよね」
「…え?」
「出遅れちゃった分、先手打っとかないとね」
「でも徹はまた海外でしょ?」
「連れてくから。そのつもりでいて」
「え?でも…」
「はい、もうおしゃべりは終わり。挿れたまま我慢って結構辛いから…。こっからはお互い、気持ちよくなんないとね?」
いちか が落ち着いたのを見計らいゆっくりと腰を動かし始める。ねっとりと絡まる膣内にもっと深くと欲が加速する。根本ぎりぎりまで引き抜きぐぶっと一気に貫き、動きを大きくする。
「あ…っ、やぁ…」
「ごめん、苦しい…?」
「ん、…」
「名前、呼んで」
「…と、おる」
「どうしよう…。このままずっと繋がってたい」
肌のぶつかる音と響く水音。紅く色付いた小さな唇を喰んだ。唇を離せば銀の糸が引き合い、また角度を変えて口づけていく。長い口付けの後、いちか の頬に涙が伝っているのに気づいた。
「いちか …」
全てが愛おしいと思うほどもう1ミリの余裕もなかった。この時間が一瞬の快楽の為に失われてしまうことが切なくてできるならその先の未来につがなるようにってそんな願いを託したんだ。