第53章 ❤︎ 俺のものだから返してもらうだけ 及川徹
いざその瞬間になって怯んでるわけじゃないけど、今は俺は夢をみてるかもしれない、そんな感覚に襲われていた。でも欲望は忠実で。先端を飲み込んだだけだなのに苦しそうに顔を歪め、想定外に狭い膣内に思わず息を呑んだ。
「……平気?一瞬辛そうな顔したけど苦しかったりする?」
「……違うの、そうじゃない」
「何?」
「あのね……。私、夫君とはまだしたことないの」
「え?」
「結婚するまでそういうことはしないって」
「本当なの…?」
「うん…」
「じゃあ、いちか はまだ俺しか知らないまま?」
「………うん」
「………どうしよ、めちゃくちゃ嬉しいんだけど」
「…へ?」
「だって全部夫君のものになってるだろうって思ってたから。でも久しぶりだとキツくない?」
「ん、もう平気。…でもそれ以上に、感情が昂っちゃってどうしていいか分かんない」
「それは俺も…。こんなところでしちゃいけないのにさ、どうしようもなくいちか が愛しくて欲しくてたまらない」
「…ん、…きて?」
浅く挿れたところでゆっくりと出し入れを繰り返しながら少しずつ奥へと侵入していく。狭い膣内をほぐすように挿入を繰り返すと愛液が滑りを助けるように馴染んでいく。
「いちか の全部が欲しくて無理矢理犯すように抱いてたかもしれないのに、何でだろう。初めてした時みたい…」