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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第53章 ❤︎ 俺のものだから返してもらうだけ 及川徹


「やめてよ、そんな嘘臭い」
「嘘じゃないよ。もう一度会ったらその時はやり直そうって言おうと思ってたから」
「嘘じゃん。久々の再会でお互い“初めまして”だったし」
「そりゃあ俺も一応年齢だけは大人だからさ、その場に合わせることくらいはしなきゃ。でもそれが本心とは限らないでしょ?」
「あのね、徹…」
「籍はまだ入れてないんでしょ?」
「来月の私の誕生日に入れる」
「ならまだ間に合う?」
「は?」
「俺さ、ずっといちか のこと忘れられなかったんだよね……」
「そんなの絶対嘘」
「ごめん…。でも綺麗になったいちか が夫君のものになるの想像したら妬けちゃった。……夫君には悪いけどいちか を俺に返してもらいたいな」
「待って、有り得ないんだけど」

いちか の瞳の奥が揺れたのを俺は見逃さなかった。夫君よりも俺の方が何年も付き合ってきたしこう言う時に嘘がつけないいちか の仕草だって知り尽くしてる。だからこれ以上はダメだって警鐘が鳴ってんだ。

「なんてね。…そんなドロドロ展開期待したってないから」
「ほんと最低……。こんな時に呆れる。馬鹿じゃないの?」
「馬鹿でもいいじゃん今日くらいは」
「岩泉君にチクって締めてもらわなきゃ…」
「はは、それはやだね。でもさ、元カノを親戚に奪われた俺なりの祝福ってことにしといてよ」
「素直におめでとうって言えば良いだけなのに」
「それが言えないから困ってんの」

いちか を忘れてなかったのは本当のことでそれが何年越しの想いなんだから厄介極まりなかった。できるなら奪いたいなんて都合のいい本心もあったけどでも好きだからこそいちか の幸せを純粋に願う自分でもいた。

式はまだ先だし、思い切って早めに渡亜するのもいい。俺以外の相手と世界一幸せそうになる元カノの姿なんて見たいわけないもん。だからさ、最後に少しだけ足掻いて全部お仕舞いってことにしたかったんだと思う。




なのにさ…、何で!?
この状況、死ぬほど引くんだけど!?

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