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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第53章 ❤︎ 俺のものだから返してもらうだけ 及川徹


無言のまま時間が過ぎるけどその場から離れたくなくて腰かけに座った。木のテーブルには古い陶器のタバコ皿。何本かの吸い殻が捨ててある。

「ねぇ、タバコ持ってる?あったら分けてよ」
「こんな時に持ってるわけないでしょ」
「やめたの?」
「やめてはないけど…」
「夫君は知ってるの?タバコ吸ってるの」
「まさか?夫君ってそういうの嫌いだから隠れて吸ってるよ」
「さすがだね。そういや付き合ってる時俺のイニシャルのタトゥー入れるって言ってたこともあったよね」
「あれは単なる黒歴史だから。入れなくてよかったって今心底思ってるよ」
「でも夫君ってさいちか のタイプじゃないと思うんだけど何がよかったの?」
「そりゃあ…、私を大切にしてくれるから」
「それだけ?」
「経済力だってあるし、顔もそこそこ良くて私に尽くしてくれて何より私から離れていかないから」
「……それを言われると俺は何も言い返せないな。夫君はいい奴だけどでもつまらないと思うよ、俺は」
「そのくらいでいい。結婚したら落ち着かなきゃ」
「勿体無いな」
「何よさっきから。…元カノの結婚くらい素直に祝福してよ」
「そうだね。…頭ではわかってんだけどさ」
「徹は私とは遊びだったんでしょ?」

そう思われても仕方ないことも分かってる。でも遊びだって思ったことは一度もなかった。

「今更こんなこと言うのはずるいけどそんなつもりはなかったよ。あの時はいつ日本に帰ってくるかも分からなかったしいちか が俺のことをちゃんと忘れるようにって別れを告げただけ」
「それも一方的にね。どれだけ傷ついたと思ってるの?」
「ごめん……」
「一緒にいようって言ったのは徹の方なのにあれからの数年間を返してってずっと言いたかったよ。……でも夫君と出会ってやっと立ち直れたの、だからもう放っておいて」
「でも俺はずっといちか のことを忘れてなかったよ」
「ああもう…、そんなの結婚前に聞きたくないよ。徹なんて結婚前に一番会いたくなかった」
「俺は会いたかった。というか会ってみたいってずっと思ってたから俺の願いが叶ったのかも」
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