第50章 ❤︎ 何年たっても特別な日は変わらない 岩泉一
そしてこれはつい最近の出来事。
私たちが特別な関係になってから何度目の6月10日だろう。
一年に一回の特別な日だから、今日は私も思い切って休みを貰っていた。予約していたケーキは午前中のうちに取りに行って今は冷蔵庫で待機。机には沢山の材料が並んでお義母さんに貰ったレシピをにらめっこ。
いつもは二人用のペアの食器だけど、それにプラスしてお皿もコップも準備した。一君はみんなが来ることは知らないから、本当のサプライズだ。
今日は結婚して迎える一君のお誕生日。夕焼け空が赤く染めた18時過ぎ、一人目のゲストが到着。
及「こんばんは」
「いらっしゃい。早かったね」
及「久しぶりの定時上がり。頼まれてたお酒ってこれでよかった?」
「うん…。あれ?でもこれ高い方じゃない?普通のでもよかったのに」
及「岩ちゃんの誕生日だからね。ちょっと奮発」
「さすが及川。あ、上がっていいよ。料理ももう出来てるし」
及「うん、玄関の外までいい匂いしてたから…。岩ちゃんも喜ぶだろうね」
一君の前では相変わらずだけど、あの頃よりもずっと大人びて大人の余裕?なのかな、口調も随分柔らかくなったと思う。
「今日は及川たちが来るのも知らないし、みんなが居ること方が嬉しいんじゃない?」
及「でも岩ちゃんもツンデレだからねー。今日は飲ませてデレデレさせようか」
「そうだね。家じゃあんまり飲まないから好きなだけ飲ませてあげて」
及「了解」その後すぐに花巻と松川も家に到着し、残るは一君が帰ってくるのを待つだけとなった。
テーブルの上には私の手料理にケーキにお酒、花巻たちが買ってきてくれたおつまみも並んで豪勢な食卓だ。