第48章 ❤︎ 処女相手にあまぁいセックスをするイケオジ岩ちゃん
束の間の沈黙の後、ベッドが静かに軋む。仕事の時みたいな真剣な表情が真っ直ぐに向けられて大きな手は頬を撫でて額に唇が触れる。
「痛かったら途中で止めてやるから」
「嫌です。痛いなんて言わない」
「強がんなって」
「だって怖くないもん。大好きな人に抱いてもらえるんだから」
「俺が思ってるよりずっと強いな、いちかは…」
そんな事ない。ただ好きって気持ちがそうさせただけ。両足の力を抜いて目を閉じて体が重なり合う。
「挿れんぞ」
心地よく感じていた先輩の呼吸が分からなくなった。熱くて鋭い痛みが体の中心を突き抜けていくような感覚に“痛い”って言葉が溢れそうになって慌てて口を噤んだ。
「唇、噛むんじゃねぇ」
「あ、…ふ、ぁ、……ぁっ」
裂けるように痛い。痛くてまた涙が溢れ出す。分かっていたこととはいっても何もかも初めてで動揺を隠せない体は短い呼吸を繰り返す。鼓動を速いのはアルコールだけのせいじゃない。まだ感情と思考が追いついてなくて少しだけ混乱してるんだ。
「だから、んな浅い息してたら過呼吸になんぞ。ちゃんと吸って吐け」
「…っはい」
「大丈夫だから…。いちかを抱いてんのは俺だろ?」
覆いかぶさる様に抱き締められて密着した素肌からまた大きな呼吸を感じた。震える体は吸っては吐くを繰り返す。切なさに胸が傷んだ後、どうしようもない幸福感が溢れて、ただ目を閉じて大きな体に馴染むようにそれだけに意識を集中させた。
「そう…。いい子だな」
痛みに優しく触れるような、初めて聞く優しい声だった。
「…優しくて、泣きそうです」
「俺だってこんな風に抱いたことねぇよ
「そんなこと言うの、だめ。…好き」
「ずっとお前とはいたのにな。こんな自分の感情かき乱されんのは初めてだ。アルコールだけのせいにできないよな」
「もうアルコールなんて抜けちゃいました」
「だよな…。ってことはもう嘘もつけないよな」
「え?」
「好きとは言ってやれないけどお前が欲しい。矛盾してるけど俺もどうしていいか分かんねぇんだ」
今目の前のぼやけた光景も耳に触れる言葉もこれが全部夢でもよかった。岩泉さんの言葉が魔法みたいに痛みを麻痺させて甘い快楽に変わっていく。薄れゆく意識の中で絡み合うように繋いだ手の温もりを忘れないようにきつく握り返した。
