第48章 ❤︎ 処女相手にあまぁいセックスをするイケオジ岩ちゃん
「悪い。…歩くの早かったか?」
「…いえ」
「気遣ってやれなくて悪かった
ここまできて優しい言葉をかけてくるのは残酷だ。その優しさに期待してしまう。
目的のバスの停留所の裏通りはホテル街だった。こんな日はどのホテルだって赤いライトに染まってるに決まってる。でもふと見えたのはグリーンの鮮やかなライト。それは私にgoサインを出してくれているみたいに見えて歩みを止めて一歩先を行く岩泉さんのスーツの裾を引っ張った。
「あの…っ」
「何だ?」
「あそこ、……空いてるから」
赤い信号が並ぶ中で唯一光るグリーンのライトまでは100メートル程の距離。
「…後2時間でいいから私に時間をください」
「いい加減にしろ」
「やだ」
「やだじゃねぇって…」
「先輩が初めての人になってくれないなら私を相手してくれる人を適当に待ちます。クリスマスだしナンパ目的の人もいるだろうから」
「止めろ」
「やだ」
「怒るぞ?」
「私が冗談でこんなこと言ってると思いますか?」
「そんなこと思ってねぇよ。冗談に見えねぇから俺だって本気で止めてんだよ」
「だったら一回でいいから…、今日だけでいいから…。一緒にいてくれませんか?」
狡くて浅はかな女だって思われてもいいしこれで本気で嫌われちゃったらそれでももういいや。望みなんて初めからなかったから。
「奥さんのこと考えてもいいから。性処理に使ってくれていいですから」
「馬鹿っ」
分厚いコートの生地が触れて後から感じる体温と匂い。トクトクと聞こえてくるのが先輩の心臓の音で今、抱きしめられてることに気付いた。
「俺の気持ちだって少しは考えろ」
「……なんで、抱きしめて…
「俺だって分かんねぇよ。けどお前みたいな奴、放っておく方が後悔しそうな気がして」
「………ごめんなさい」
「お前が本当に後悔しねぇんなら、抱いてやる」
自分の鼓動が早くなるのを感じていた。望んでいたことなのに耳に触れた言葉をすぐに理解できなくて先輩の腕の中じゃ街を彩るイルミネーションの光すらぼやけて見えた。