第47章 ❤︎ 岩ちゃんだって男の子なんだもん
曇りがかった空の下は湿気と熱気で蒸し暑い。無言のまま手を引いて中庭の多目的トイレまで連れてくる。新しく新設された割には外でのイベントがある時以外あまり使用されていない。ましてやこんな人気の少ない日には誰も来ない。
鍵を閉めてしんと静まった空間に向き合って立つ。普段となんら変わらない制服姿なのに、この下に身に纏っているものを想像すれば鼓動は早まっていく。
「全部、見ていいか?」
「…うん」
「脱がすぞ」
小さく頷いて俯いたままの頬に触れ、キスをする。唇を重ねたまま夏用のリボンとブラウスの釦を外して見えた胸元は下に身に付けていたのと同じ生地が覗く。いざベストを脱がして上半身を露にすれば突起だけが隠れる面積の布、薄いレース生地の下はくっきりと薄ピンクの突起がツンと勃っている。本人はコンプレックスだと言っていたむちっとした体に食い込む頼りない紐と僅かな布は俺には扇情的だった。
「想像以上にエロい」
「でもこんなの着てないのと同じだよね」
「むしろ着てるから…。余計エロいっつうか…」
「スカートも脱ぐの?」
「当たり前だろ」
足の先から白い太ももまで視線を上げていってサイドに繋がる両紐の真ん中は薄いピンク生地とその奥には控えめな茂み。はっきり言って過去最高にエロい彼女が目の前にいる。
「お前はなんつーもん履いてんだよ」
「一が喜ぶかなって思って」
「喜ぶっつったってお前な。一応、ここ学校だかんな?」
「だって最近してなかったもん」
「だったらせめて家で誘え」
「それじゃいつもと同じでしょ?及川君からもっと積極的にいかなきゃダメだよって言われたもん」
「積極的の方向性をそもそも間違えてんだよ」
「じゃあこういうの嫌い?」
「好きとか嫌いとかの問題じゃねぇよ。…ただ自分の彼女に対してだけは特別に、……エロく見える」
どちらかと言えば童顔な顔つきなのに嬉しそうに口角を上げるのが妖艶に映る。結局はこのギャップに翻弄されっぱなしになってんだいつも。