第46章 ❤︎ 超絶信頼関係 岩泉一 及川徹
それから15分くらい経った頃、玄関のドアが開き、“ただいま”といつもの彼女の声。
「おかえり」
「ただいまー!あー、疲れたぁ」
「いちかちゃん、お疲れ様。久しぶりだね」
「及川君、久しぶり。一年ぶりくらいかな?」
「そうだね、岩ちゃんとは半年前に会ったけど、いちかちゃんとはそのくらいだよね。…俺の知らない間に同棲してるんだもんビックリしたよ」
「だって二人分の家賃払うのもったいないでしょ?二駅しか離れてないし、ここからでも全然通勤圏内だもん」
「いいよねー。そういうの。岩ちゃんは幸せものだね…」
また酔いが回ってきたのか及川はとろんとした目でいちかを見つめ“羨ましいな”と呟く。まぁ実際幸せではあるし、単身海外の及川からすればそう思われるのも分かる。空になった及川のグラスに日本酒を注ぎ足し、まぁこいつも頑張ってんだしな…と多少の労いの気持ちはあった。
「飯まだだろ?なんか食う?」
「あ、うん。でもその前にシャワーいい?蒸し暑くて汗かいてて
「どうぞどうぞ」
「お前ん家じゃんねぇだろ?」
「いいじゃん。他人同士でもないんだから」
「よく言うわ」
「じゃちょっと行ってくるね。及川君もごゆっくり」
「うん、ありがとう」
へらへら笑いながらいちかに手をふり“飲もっか”と上機嫌な及川。
「同棲もすっかり板についてるね」
「まぁな…。いつの間にか一緒に住んでたってだけだけど」
「そういうのって憧れるよね。高校卒業する前に自分だけさっさと彼女作ってさぁ…。どうせ結婚とかも考えてんでしょー!ああもう絶対聞きたくない!岩ちゃんが俺より先に結婚とか絶対に無理!泣かずにおめでとうなんて言えない」
「ややこしい奴だな、お前は…」
「そりゃ一人海外で居たらこういう幸せそうな空気羨ましくなるじゃん。向こうでは長続きしないし気付けば浮気されて振られたり…。やっぱり日本人の女の子が一番だなぁって思うよ」