第45章 ❤︎ もしも岩ちゃんがスイミングインストラクターだったら…
「私、結構一途ですよ…。いいんですか?地獄の果てまで追いかけるタイプですけど」
「そんなこと言われたこともないけどそれも悪くねぇな」
「ほんとに追いかけますよ?」
「いいよ。いちかなら…」
「じゃあもう少し、このままでいてください。頭も心も現実に追いつかなくて意識が飛んじゃいそうなので」
「だったら俺に凭れてろ」
「はい…」
私を抱く腕に力が籠る。抱かれながら浮かぶのは出会いから今日までの時間が走馬灯のように…ってちゃんと意識を保て私。一旦、気持ちを落ち着かせて目を閉じて浮かんだのはあの日の一目惚れした瞬間だった。
「それと、ひとついいですか?」
「何だよ」
「ちゃんと責任を持って私のダイエットに付き合ってくださいね?」
「だったらいちか専属で指導してやるよ」
「頼りにしてます」
「…任せろ」
「じゃあ最後に…」
「なんだよ」
「私を一さんの彼女にしてください」
「急に可愛いこと言いやがって。ちゃんと彼女だよ」
見上げた先には夕日を背に微笑んだ一さんの笑顔。こんなに優しく笑う表情を見られるのは私だけだよね。私を虜にさせた笑顔はもう罪だよ…。