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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第45章 ❤︎ もしも岩ちゃんがスイミングインストラクターだったら…


「じゃあそろそろ行くぞ。俺はポップコーンが食いてぇ」
「いいですね。全種類買いましょう」
「んな食えねぇよ…」
「これがもし夢オチだったら私立ち直れません」
「何言ってんだよ、お前は…。ちゃんと現実だよ」
「……はい」

握られた手が歩くたびに揺れる。呆れる声まで優しい。今からゾンビ映画を見るなんて思えないくらいに嬉しさで溢れていて何度も一さんの横顔を見つめてしまっていた。


ゾンビ映画は残念ながら不人気のようで日曜日なのに空いていて私たち以外は2~3人だけだった。肩が触れそうな距離にドキドキしてたのは始めだけで、映画が始まるとむしろこの距離に安心感すら感じていた。繋いだ手の温もりとか全部独り占めできるなんてなんて贅沢なんだろうと噛みしめる。

人が少ないことをいいことに時々小声で話しかけながらストーリーは進んでいく。苦手じゃないと言ってた割には吃驚してる表情も可愛くて新たに見た一面だって私には特別に映っていた。

「結構、怖かったですね」
「何回か本気でビビったわ…」
「肩がびくってなってましたもんね」
「お前だって完全に俯いてたくせに」
「だって怖かったから」
「ゾンビ系は家で観るのがいいな」
「じゃあ一さんはどんな映画が好きなんですか?」
「ゴジラ…」
「え?」
「後、凶暴な鮫とか蛇とかそういうのがうじゃうじゃ出るやつ。SFも好きだわ」
「じゃあ今日は一さんの見たい映画にすればよかったのに」
「今日はいちかの見たい映画でよかったんだよ。たまにチケットくれるから次、貰ったら俺の見たい映画に付き合えよ?」
「次も私が相手でいいんですか?」
「行く相手なんかいないしな」
「友達とかは?」
「飲んだりはするけど映画とかは行かねぇよ。それにお前といるの楽しいしな」
「……なら良かったです」

頬がにやけるのを抑えられない。思わず勢いで“好きです”って伝えちゃおうかなって思った。一さんといるだけで憂鬱な気分なんて吹き飛んで心がどんどん軽くなって、見える世界が明るく開けていくような気分をもう少し味わっていたかった。
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