第45章 ❤︎ もしも岩ちゃんがスイミングインストラクターだったら…
「今日も頑張ってんな」
プールサイドで束の間の休憩中、ベンチに腰掛けていると一さんが声をかけてくれる。あれから二週間くらい経ったけどここで話をするのがルーティンみたいなものになった。
「今日は平泳ぎとクロール合わせて1000いこうかなと…」
「きつくねぇの?さっきウォーキングもしてただろ?」
「んーでも…一週間くらい来れないから今日はとことんやっちゃおうと思って」
「…学校か?」
「いえ…。……女の子特有の事情ってやつで」
ほぼ毎日きてるのに一週間も休んじゃうとさすがに心配してくれるだろうし、恥ずかしい理由だけどここはやんわりと断っておかないと…。
「悪い。察すればよかった」
「全然そんなことないです。だって一週間来なかったら心配するでしょ?心配してくれますよね?」
「そりゃな…」
「だから一応言っておこうと思って」
「ずっと頑張ってたんだから休むときは休めよ。…けどストレッチとかできることは続けること」
「抜かりないですね」
「一週間経って来なくなったら困るからな」
「私に会えないから?」
「ダイエットの成功見届けたいからな」
「会えなくて寂しいとか思ってくれてもいいんですよ?」
「あー寂しい寂しい。寂しいからちゃんと来いよ」
「めっちゃ棒読みじゃないですか、もうっ」
例え一さんが来るなって言っても来るけど。だって一週間も一さんに会えないのは私の方がつらい…。