第45章 ❤︎ もしも岩ちゃんがスイミングインストラクターだったら…
「今から晩御飯ですか?」
「いえ…。いや、はい、そうです…」
「ここのラーメン美味しいですよね」
そうなんです。美味しいからつい来ちゃうんです…。でもダイエット中には来ちゃいけないお店なんです。分かってても赤提灯の魔法にかかっちゃったんです…。
「せっかくだし、席、そっちに移ってもいいですか?」
なんて俯きながら言い訳を考えてるとまさかの誘い嬉しすぎる誘いに顔を上げた。けど今はすっぴん…、またしゅんと俯く。
「いいですけど…。私、今から味噌ラーメンの大と餃子とビール頼んでるんですよ?それにすっぴんだし…。引きません?」
「全然そんなことないですけど…」
「じゃああんまり顔見ないでくださいね」
吹き出して笑いながらコップを持ち隣に座る岩泉さん。あれ?カウンター席ってお隣さんとこんなに近かったのかな。
「運動したら腹は減るのは当たり前です。俺もです」
「止めなくちゃいけないんですけどね、こんな食生活。…でもつい自分に甘くなっちゃうというか」
「だからスイミング始めたんですよね?俺もインストラクターとしてダイエットが成功するように応援してますから」
男前な上になんて優しいんだろう。まだ飲んでもないの体半分が熱い。
「はい、生ビールね。一君も一緒に飲むでしょ?」
「はい。いただきます」
「じゃあごゆっくりね」
カウンターに置かれた生ビールが二つ。乾杯の流れになって自然とグラスを重ねた。
空きっ腹にアルコールが五臓六腑に染み入る。ふわっと軽くなってく意識と体。年上の男性に心を開くのなんて今まで経験がなかったけどアルコールの魔法のせいなのかあっという間に打ち解けてしまった。
盆と正月が一度にきたようなこの好機、逃したくない!