第43章 ❤︎ 俺はまだ本気出してないだけ　岩泉一

「さっきみたいに汚しちゃうからやだ。ここお布団だし」
「んなの、どうでもいいよ」
「よくない」
「俺が待てねぇの。お前のために普段から我慢してんだよ。今更ここで我慢する方が無理だ。諦めろ…」
「ね、ほんとに無理なの」
「はいはい、分かったから」
「…止めて、くれるの？」
「いや、抱く。…とりあえず一旦黙れな？」

そう低音を響かせ耳朶を甘く噛まれれると首を噛まれた猫のように身動きがとれなくなる。両脚を押し広げ息を吐きながらゆっくりと腰を進めていけば先輩の表情は快感に歪んでいく。

「…っ、あ。……やっぱ、いちかのナカむちゃくちゃ気持ちいい」

なんの抵抗もなくナカを圧迫されて苦しいはずなのに先輩の甘い声にゾクゾクして目の前が霞んだ。

「お前も好きなんだけイけ…」

その言葉を合図とするように肌が激しくぶつかる音が響いた。私の喘ぐ声と乾いた音。まだ明るい時間なのに今は罪悪感でさえ快楽に変わってイキそうと一瞬でも感じれば簡単に達してしまう。感じる生ぬるい体液は間違いなく自分のもの。

「ぐっちゃぐちゃだな…」
「…や……、ぁ、…言わない、で…」
「こんだけイケる体なら今後が楽しみだな？」


もう何も考えられなくて、ぐちゃぐちゃに溶け合うように求め合う。イってもイっても終わりはなく、ただ無限に続く恍惚感。達した後は体を重ねたまま抱き合い、ふわふわとした余韻に包まれながら何度もキスを交わしてようやく解放された体先輩の腕の中に収まり、汗ばんだ胸に頬を寄せて目を閉じた。