第43章 ❤︎ 俺はまだ本気出してないだけ 岩泉一
「……これが潮吹きってやつ?」
力なく先輩の言葉に現実と羞恥心が押し寄せて感情は高まり涙が込み上げてくる。両手で顔を隠したいのにそれもできずに顔を横に向けるだけが精一杯の抵抗。
「も、やだぁ…」
「なんでだよ。気持ちいいからだろ?いい事じゃねぇか」
「よくない…、全然」
男に先輩にはこの複雑な気持ちは絶対に分からないだろう。先輩に触れらて犯されるように抱かれて変わっていく私の体。指だけでこれなら挿入となれば絶対に体は持たない。
「先輩…。もう、これ以上はしたくないです」
「待てよ。俺、まだ挿れてねぇんだけど」
「もう無理。私、死んじゃう…」
「じゃあベッド行くか?そこ痛かっただろ?」
「無理。動けない」
「んじゃ俺に掴まれ」
縛られていたネクタイを外され自由になった両腕は先輩の肩に回した。大きな力で抱えられ柔らかな布団へとダイブ。いつもはここで優しく抱かれているのに今日はもう何度もイカされすっかり体は蕩けきっている。
「悪かったな、縛ってよ」
いつものような囁きと“ごめんな?”って言葉は記憶の中の優しい先輩と錯覚してしまいそうになる。
「んじゃ続きすんぞ」
それなのに何事もなかったかのように制服のシャツを脱ぎ捨ててベッドサイドのコンドームの袋に手を伸ばし袋の封を切る。これ以上は無理だって言ってるのにそんなのお構いなしの様子で覆い被さって視界が先輩で埋まる。