第42章 ❤︎ ラブコール 岩泉一
10分程してからゆっくりと扉が開く。とりあえず誰にもバレなかったと安堵したのも束の間、“入って”と腕を掴んで俺を部屋に引き入れる。そして視界に映ったいちかの姿に唖然とする。
「なんで…、着替えてねぇの?」
着替えたはずのいちかは持ってきた下着姿のままで俺に抱きつく。
「だって我慢出来なかったんだもん」
「我慢って…、おい」
「閉めて、扉」
「あ、ああ…」
言われるがままドアを閉めるけどよくよく考えればここは密室。
「下着忘れたってワザとか?」
「こうでもしなきゃ会えなかったでしょ?」
「だからってなぁ、お前…」
「私だってドキドキしてたもん。一が来てくれなかったらどうしようって」
「むしろ行かねぇって選択肢なんてなかったわ」
「ほんと?」
「当たり前だろ」
「ねぇ一…」
「なんだよ」
上目遣いで赤くなった頬、吸い込まれそうな瞳にこれ以上何も言えなくなる。
「キスして?」
ここでキスしたら戻れないって分かってるのに、俺に食って欲しいと言わんばかりのいちかの姿に我慢は出来なかった。唇を重ねるだけで甘い味が広がっていくようで、もっと深く味わいたいと欲望に任せて唇を貪るように口付けた。
「しよ」
「ここまで来て引き下がれねぇけど…、今ゴム持ってねぇし」
「私持ってる」
「なんでだよ…」
「昨日ね、同じ手口使ってあっちゃんと花巻もしたんだって…。だからあっちゃんにゴム貰ったの」
あっちゃんって確か、ああ花巻の彼女か…。だからあいつ昨日の夜いなかったのか……。俺も人のこと言えねぇけど何やってんだよ。