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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第41章 恋する細胞 岩泉一


「私には合わないくらいハイペースでここまで来ちゃって、まだ気持ちが追いつかないの。ちゃんと好きなのにドキドキしっぱなしで上手くいかないのが悔しくて…」
「…それが理由か?」
「…ごめんね」
「だったら俺が悪いよな」
「そんな事ない」
「俺、待つって言ったのにな」

抱き締める腕に力がこもる。悪いのは岩泉君じゃない、私なのに…。

そして無情にも予鈴の鐘が鳴り、腕の力が緩まっていくのに寂しさと不安が過ぎる。

「悪い。こんな時に」
「待って」
「何?」
「話したい。ちゃんと…」

今ちゃんと話さなきゃ…、授業よりも大切な事だから。後で先生に怒られるくらいどうってことない。

「……分かった。俺も今ちゃんとお前の気持ち聞いておきたい」
「うん…」

騒がしかった校内も徐々に静かになっていく。少しの罪悪感はあったけど、岩泉君の腕をぎゅっと抱き寄せて少しずつ言葉を紡いだ。

思えばなんとなくギクシャクし始めたのは一週間前からだった。それは初めてのキス、をしてから…。

恋人同士になれば誰もが通る道だし、私だって興味がないわけじゃない。してみたいな…程度の気持ちはあったけど帰り際ふと立ち止まったときに触れた唇。予想もしてなかったことに頭は完全にフリーズしたまま、立ち直るのに時間がかかってしまった。変に誤解されたかも…と思ってもなかなか切り出せなかったんだ。

「ほんとはね、この前の……キス、も嬉しかった」
「次の日、目も合わせなかったくせに」
「それは恥ずかしくて。授業中だって何度も思い出しては一人でニヤけるし…。だから最近はマスク常備してニヤけ対策してるくらい」
「風邪じゃなかったんだな」
「ニヤけるからマスクしていますって言えないでしょ?」
「言えよ、俺には」
「だから今言った」
「じゃああん時のは嫌じゃなかったんだな?」
「嫌じゃなかったよ。ただキャパオーバーだっただけで」
「だったらよかった。いちかの態度みてやりすぎたかと思ったから」
「そんなことないよ。ほんとに、ただ驚いただけだから」
「だったらもう一回していいか?
「…もしかしてここで?」
「もう誰もいねぇだろ。俺、一週間我慢してんだけど」
「それはごめん…。でも、いいのかな……
「慣れていかねぇとこのままだぞ?」
「ほんとに誰も見てないよね?」
「見てねぇよ」
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