第41章 恋する細胞 岩泉一
それから2ヶ月後のお話。
「だーめだぁ……、心臓がもたない…」
そう呟きながら芝生の上で大の字で寝転がった。
付き合うようになったとは言えほぼ未経験ゾーンへの突入につき、毎日心臓に悪い日々を送っている。私と違って積極的は岩泉君に翻弄されっぱなしと言える。
今日は委員会があるとかで昼休みは別々に過ごし、一人になった途端電源が切れたように頭は動かなくなる。深呼吸しながら空を見上げ、雲一つない空の青さに心を落ち着かせた。
正直、会いたいけど会いたくない。そんな複雑な気持ち。会えばリードされっぱなしでいつも私の気持ちがついていかなくて。好きなのに全然うまくいかないの…。
「………っ」
情けない、の一言だと思う。岩泉君は変わらず優しいのに私だけなんにも成長できてないの。人と関わる経験値が極端に少ない私には恋愛なんてそもそも無理だったんじゃないかって思えば、胸は痛くて泣きたくなった。
こんな贅沢な悩み、私には荷が重すぎる。